キレーション療法
キレーション療法とは
私たちは、環境汚染、食品汚染にさらされており、体内にはさまざまな不純物や有害金属が蓄積されています。不純物や有害金属が体内に蓄積すると、活性酸素が増え、酵素活性や神経に悪影響を与えます。その結果、いろいろな不定愁訴が生じたり、動脈硬化(血管の老化)が進行する原因になります。
体内の有害物質は、尿や汗となって体外に排泄されますが、点滴や内服によって積極的に有害物質を除去し、不定愁訴や老化の進行を食い止めようというのがキレーション療法です。有害金属を除去する薬剤は、カニのはさみ(キール)のように重金属をつかんで体外に排泄させるため、キレーションという名前がついたと言われています。キレーションには、EDTAやDMPSによる点滴療法と、DMSAやDMPSによる内服治療があります。
EDTAキレーション
EDTAキレーション療法は、目的によって大きく2つに分けられます。主として動脈硬化(血管の老化)の予防・治療を目的とするNa2-EDTA(=Mg-EDTA)と、有害金属の排出を目的としたCa-EDTAです。EDTAキレーションの動脈硬化に対する治療は、鉛中毒の患者にEDTAキレーションを行ったところ、狭心症の症状が改善したという発見から始まりました。その後、症例が積み重ねられ、EDTAキレーションによって、虚血性心疾患に対する心臓バイパス手術を避けることができたり、閉塞性動脈硬化症に対する下肢切断を避けることができるという効果が明らかにされました。狭心症や間欠性跛行などの自覚症状の改善、心機能の改善、脳血流の改善、血管年齢(PWV)の改善なども報告されています。EDTAキレーションは、下記の疾患に対して試みられていますが、主な作用機序としては、有害金属の除去による酸化ストレスの改善が考えられています。
EDTAキレーションは、アメリカでは年間約80万件行われておりますが重篤な副作用はなく、点滴速度を守り(90分かけて点滴します)、ACAM(アメリカ先端医療会議)の方法に従って行えば、安全性に関しては問題ないと考えられます。2002年から2011年にかけて、米国国立衛生研究所で、心筋梗塞の再発予防に対するEDTAキレーションの効果を検討する大規模臨床試験が行われ(TACT試験)、EDTAキレーション治療群では、死亡や重症心血管事象の頻度が有意に低下したという結果が得られています。
キレーション療法の適応
動脈硬化の予防・治療 | 虚血性心疾患 閉塞性動脈硬化症 |
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有害金属の排出 | 鉛 カドミウム アルミニウム 水銀 ヒ素 |
神経変性疾患 | パーキンソン病 アルツハイマー病 |
眼科疾患 | 加齢黄斑変性症 |
膠原病 | 強皮症 |
皮膚疾患 | 乾癬 |
アンチエイジング | フリーラジカルによるダメージ しみ しわ |
EDTAキレーションの実際
1.EDTAをビタミン剤とともに週1回90分かけて点滴します。
最初は、症状に応じて週2回行うこともあります。
2.3ヶ月(10回)ごとに効果判定を行い、症状に応じてこれを
数クール繰り返します。
- Ca-EDTAでは、尿誘発試験により重金属の排出状況を判定します。
- Na2-EDTAでは、血液検査、血圧脈波検査、頸動脈エコーなどで
動脈硬化の評価を行います。
3.6ヶ月程度行った後、効果が確認できれば月1~2回に減量します
(維持療法)。
キレーションによる副作用を減らし、効果を高めるために、ビタミンやミネラルなどのサプリメント(内服)を併用します。
副作用 : 腎障害、静脈炎、低Ca血症、低血圧、低血糖、疲労感、不整脈、内出血、アレルギー反応などが起こることがあります。
禁忌 : 妊婦、急性鉛中毒では禁忌です。腎機能異常、うっ血性心不全、肝機能異常が高度の場合も禁忌です。
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