院長ブログ

2019年12月28日 土曜日

大腸癌からの卒業

2019年最後に嬉しい報告がありました。
今も元気に通院中の80歳代の大腸癌の患者様が、手術を受けた病院での5年間のフォローアップを終了されました。
大腸癌検診(便潜血)で異常が見つかり、
大腸ファイバーで上行結腸腺腫とS状結腸癌が発見され、
腹腔鏡下で右半結腸切除術+S状結腸切除+リンパ節郭清術を行った患者様です。

僕が研修医だった時代を思い出すと夢のような話です。
70歳代後半のstageⅢAの大腸癌腹腔鏡で根治できたのです!
僕が医者になった頃は「がん」は不治の病と恐れられ、
本人にどう説明すればショックを受けないで前向きに治療に向かうことができるか、
本人に内緒でまず家族と相談するのが主治医の重要な役割でした。

国立がん研究センターの統計によると、
1993年~2008年に診断された大腸癌(結腸癌)の5年生存率は、
限局癌では、1993年からすでに95%以上を達成しています。
侵襲の少ない内視鏡や腹腔鏡による治療技術が急速に進歩していますが、
早期に発見できれば、25年前でも95%の5年生存率が達成できていたのです。
大腸癌の予後を改善するためには、早期発見が重要なことは明らかです。
しかし、限局癌として治療できた割合は約50%で、25年前と変わっていません。
(予防が重要なことは言うまでもありません。予防に関しては別の機会に)

近年の遺伝子検査法の進歩により、大腸癌の発症にフソバクテリウム菌が関与していることが明らかになりました。
腸内フローラ検査によりフソバクテリウムの有無を調べることができます。
また、マイクロRNA検出する遺伝子検査により大腸癌の早期診断が可能です。
しかし、検査料金はまだまだ高額で、
当院では、腸内フローラ検査が2万円、マイクロRNAミアテスト検査(癌12~13項目)が20万円以上します。
誰もが気軽に受けられる料金で大腸がんの早期診断ができる日が早く来ることを願っています。

大腸癌になっても、
早期に発見されれば、
通常の治療で95%以上の人が5年以上生きられるのです。
治療を受けられた多くの患者様が今も元気に通院されています。


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