院長ブログ
2016年4月 1日 金曜日
飴?それとも 鞭?
子供に風邪をひかせないために、厚着をさせますか?
それとも薄着にさせますか?
草木は風雨にさらされながら生きています。
僕たち人間も同じです。
一生温室で過ごすことはできません。
十分な水と肥料と光を与えられれば、
草木は元気に育ちます。
元気に育っていれば
多少の気候の変動にも耐えられます。
でも想定外の環境の変化に遭遇したとき、
穏やかな環境の中すくすくと育ってきた草木は、
それに耐えることができるでしょうか?
もしかしたら、厳しい環境の中で
精一杯生き抜いてきた草木の方が、
かえって風雪に耐えることができるかもしれません。
仮に一生温室の中で暮らすことができたとして、
温室の中の草木は
厳しい環境を生き抜いてきた草木よりも
長生きできるのでしょうか?
ホルミシス効果という言葉を知っていますか?
ホルミシス効果とは、
からだに害を与えるものでも、
その程度によっては逆にからだを強くする効果があるという概念です。
ほどほどの放射線を浴びると抗酸化力がアップします。
ほどほどの酸化ストレスは抗酸化力をアップさせるのです。
健康のためにはからだの害になるものを除くことが大切ですが、
からだの害になるものに打ち勝つ力が必要です。
からだには鞭も必要なのです。
からだに必要なのは、飴でしょうか?それとも鞭でしょうか?
体温を上げると免疫力がアップします。
一方で、体温が低い人は長生きだという有名な疫学データがあります。
抗酸化サプリは酸化ストレスを軽減させます。
しかし、それが必ずしも寿命を延ばすことにはつながりません。
飴ばかりでは長生きできないのです。
鞭も強すぎてはかえって体を傷つけてしまいます。
からだには、ほどほどの飴とほどほどの鞭が必要なのです。
何がほどほどか、そこを研究するのが抗加齢医学です。
僕にはまだ答えが分かりません。
これからも答えを探していきます。